2007年02月09日
男の子育て風雲録 全記事一覧
毎週日曜日と水曜日に配信しておりました「男の子育て風雲録」は
1月21日の投稿を持ちまして終了いたしました。
長らくのご愛読ありがとうございました。
以下が全記事の一覧です。
▼おわりに
2007-01-21 おわりに
▼本章
2007-01-17 (98)お楽しみはこれからだ
2007-01-14 (97)泣き方で知る思春期突入
2007-01-10 (96)腹くくったら伝わった
2007-01-07 (95)イチバンへのいばら道
2007-01-03 (94)自分を愛するためには
2006-12-31 (93)弁当は「ふるーい」?
2006-12-27 (92)お菓子は食べれば……
2006-12-24 (91)モノに縛られる不幸
2006-12-20 (90)もう本番にも弱くない
2006-12-17 (89)その日は突然やってきた
2006-12-13 (88)料理をおいしくする秘訣
2006-12-10 (87)子供の神様
2006-12-06 (86)努力の本当の意味
2006-12-03 (85)歌の翼に……
2006-11-29 (84)ニュースは怖い
2006-11-26 (83)焼き鳥屋で憂さ晴らし
2006-11-22 (82)ポケモン言えるかな
2006-11-19 (81)付き添いの機会均等化
2006-11-15 (80)くっつけばいい気持ち
2006-11-12 (79)小さくたっていいんだよ
2006-11-08 (78)星は足もとで輝いていた
2006-11-05 (77)失敗は笑って忘れよう
2006-11-01 (76)たかが夢、されど夢
2006-10-29 (75)言葉の呪いを解き放て
2006-10-25 (74)指の味は蜜の味
2006-10-22 (73)渡る世間にゃ鬼もいる
2006-10-18 (72)山崩れ現場のメルヘン
2006-10-15 (71)台風の夜の入院
2006-10-11 (70)楊枝一本友の元
2006-10-08 (69)心変わりは罪じゃない
2006-10-04 (68)以心伝心の道険し
2006-10-01 (67)肩もみの効用
2006-09-27 (66)娘が痴漢に襲われた
2006-09-24 (65)共に生きるということ
2006-09-20 (64)飽食とムクの実
2006-09-17 (63)束縛と解放の狭間
2006-09-13 (62)そして手は挙がった
2006-09-10 (61)続・父、その哀しき存在
2006-09-06 (60)父、その哀しき存在
2006-09-03 (59)落ち葉を黄金に変えるには
2006-08-30 (58)サンタのラストプレゼント
2006-08-27 (57)便秘も二度目なら
2006-08-23 (56)腹痛は甘えの請求書
2006-08-20 (55)月の応援歌を聞いた夜
2006-08-16 (54)たいしたことじゃないもん!
2006-08-13 (53)カナダの父たちに脱帽
2006-08-09 (52)遺伝子は偉大なり
2006-08-06 (51)何処も同じ「親はつらいよ」
2006-08-02 (50)マーキングにはご用心
2006-07-30 (49)人はムッとするから殴る
2006-07-26 (48)言うは易し、だが行うは…
2006-07-23 (47)苦節五年、呪縛は解けた
2006-07-19 (46)弁当箱はウソをつかない
2006-07-16 (45)わが子がいじめられたら
2006-07-12 (44)身もちぢむ人体実験謀議
2006-07-09 (43)借便に嗅ぐ自立のニオイ
2006-07-05 (42)すがりつけるだけでいい
2006-07-02 (41)黄昏の悲しすぎる光景
2006-06-27 (40)続・学校の不思議
2006-06-25 (39)学校の不思議
2006-06-20 (38)立ちはだかった校則
2006-06-18 (37)竹コプターを手に入れた
2006-06-14 (36)消えた遊び場
2006-06-11 (35)「困った子」の笑顔
2006-06-07 (34)九じんの功を一気に欠く
2006-06-04 (33)ジャスコ置き去り事件
2006-05-31 (32)けちも極めれば‥‥
2006-05-28 (31)星に願いを
2006-05-24 (30)泣く子は自動車がお好き
2006-05-21 (29)貨幣・・・・・・その魅力と魔力
2006-05-17 (28)笑いすぎて泣けた日
2006-05-14 (27)あのころは・・・・・・ゴメン
2006-05-10 (26)ひなたぼっこは楽し
2006-05-07 (25)将を射んと欲すればまず・・・
2006-05-03 (24)怒涛のイモ堀遠足
2006-04-30 (23)衝撃の脳天逆落とし
2006-04-26 (22)喜びが苦行に変わる理由
2006-04-23 (21)生後四十七日目のキャンプ
2006-04-19 (20)お姉ちゃんは意欲満々
2006-04-16 (19)赤ん坊が見せてくれた夢
2006-04-12 (18)先生の実力知った梅干し事件
2006-04-09 (17)「お利口」の陰の寂しさ
2006-04-05 (16)保母さんが一番エライ!
2006-04-02 (15)痛さに勝る安息の喜び
2006-03-29 (14)流離(さすら)いのカヌーイストは子供好き
2006-03-26 (13)松田優作のバカヤロー!
2006-03-22 (12)アンパンマンになりよるよ
2006-03-19 (11)トンボと友達になった
2006-03-15 (10)ひいばあちゃんが死んだ
2006-03-12 (9)気持ちは確かに受け取った
2006-03-08 (8)スパルタもほどほどに
2006-03-05 (7)白馬に乗った王子様現る
2006-03-01 (6)「さん」付けは友情の証
2006-02-26 (5)そのひと言に救われた
2006-02-22 (4)子連れは女にモテる?
2006-02-20 (3)母さん弁当と呼ばないで
2006-02-15 (2)村長室乱入で幕は開けた
2006-02-12 (1)チチローにはなれなくて
▼まえがき
2006-02-08 わがままな夫だった(まえがきに代えて)※抜粋
▼お知らせ
2006-02-07 「男の子育て風雲録」ブログ、始まります!
1月21日の投稿を持ちまして終了いたしました。
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Posted by 管理者 at
12:04
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2007年01月21日
おわりに
子育ては競争とは相いれない営みである。私自身競争に勝つことに未練があったから、初めは嫌々子育てに関わり出した。でも子供たちは容赦しない。全力で甘え、怒り、悲しみ、泣き、叫び……要するに生身の人間を丸ごとぶつけてくる。そんな奴らと付き合っているうち、いつしか未練がふっきれた。
振り返ると幼いころからずっと競争してきた。一つの競争に勝っても、すぐにまた次のレースが待っていた。勝った時は気持ちいいが、そんなものはすぐ消える。それよりも子供のたった一言の方が、はるかに人の心を満たしてくれた。よく「子供は天性の詩人」と言うが、本当に絶妙のタイミングで絶妙の台詞を発する。それに笑ったり、ホロッとしたり、胸をキューッと締め上げられたり。それらを思い出すだけで幸せな気持ちになる。
この本は毎日新聞の福岡都市圏版で九六年四月から九八年三月までの二年間、週一回連載した同名のコラムに加筆したものである。全くの私事をくだくだと書き綴っただけなのに、連載中は読者の皆さんに驚くほど温かく迎えてもらった。福岡版から一年遅れて大阪本社発行の夕刊でも連載が始まると、毎週のように手紙やファックスが届いた。
「(望まない妊娠で)落ち込んでいる時、この連載に出会って救われました」
そんな手紙をもらった時は、私の方が癒されるような気持ちになった。
タイトルには便宜的に「男の」という冠をつけているが、「男も子育てをすべき」などと声高に叫ぶつもりはない。男女に関わりなく今子育て中の人、あるいはこれから子育てをする人たちへのささやかな応援歌に、この本がなればと思う。
連載のきっかけを作ってくれた毎日新聞福岡総局の矢部明洋君と大阪本社の吉井秀一さん、本にまとめる上で私のわがままを辛抱強く聞いていただいた出版局の佐藤美智子さん、そして子育てにおける同志である妻、裕子と陰に日向に我々夫婦を応援してくれた四人の父母、そしてこの本の主人公である水咲(みさき)と明日音(あかね)に感謝します。ありがとう。
1998年3月30日
振り返ると幼いころからずっと競争してきた。一つの競争に勝っても、すぐにまた次のレースが待っていた。勝った時は気持ちいいが、そんなものはすぐ消える。それよりも子供のたった一言の方が、はるかに人の心を満たしてくれた。よく「子供は天性の詩人」と言うが、本当に絶妙のタイミングで絶妙の台詞を発する。それに笑ったり、ホロッとしたり、胸をキューッと締め上げられたり。それらを思い出すだけで幸せな気持ちになる。
この本は毎日新聞の福岡都市圏版で九六年四月から九八年三月までの二年間、週一回連載した同名のコラムに加筆したものである。全くの私事をくだくだと書き綴っただけなのに、連載中は読者の皆さんに驚くほど温かく迎えてもらった。福岡版から一年遅れて大阪本社発行の夕刊でも連載が始まると、毎週のように手紙やファックスが届いた。
「(望まない妊娠で)落ち込んでいる時、この連載に出会って救われました」
そんな手紙をもらった時は、私の方が癒されるような気持ちになった。
タイトルには便宜的に「男の」という冠をつけているが、「男も子育てをすべき」などと声高に叫ぶつもりはない。男女に関わりなく今子育て中の人、あるいはこれから子育てをする人たちへのささやかな応援歌に、この本がなればと思う。
連載のきっかけを作ってくれた毎日新聞福岡総局の矢部明洋君と大阪本社の吉井秀一さん、本にまとめる上で私のわがままを辛抱強く聞いていただいた出版局の佐藤美智子さん、そして子育てにおける同志である妻、裕子と陰に日向に我々夫婦を応援してくれた四人の父母、そしてこの本の主人公である水咲(みさき)と明日音(あかね)に感謝します。ありがとう。
1998年3月30日
福岡賢正
2007年01月17日
(98)お楽しみはこれからだ
「お父さんはだれが一番すき?」
ある日、明日音が聞いてきた。
「分かっとるやろもん」
私はわざと答えない。
「だれ?」
「だれだと思う?」
ここで何と答えるかで、その子が楽観的か悲観的かが分かる。
明日音は少し考えて、自信たっぷりに答えた。
「わたし」
「ピンポーン」
「やっぱりぃ。じゃ、わたしがすきなのはだーれでしょ?」
オウム返しで同じことを聞いてくるのが幼な子のかわいいところである。私は少し考えるふりをしながら答えた。
「えーと、だれかなー。お父さんかな」
「ううん」
オイオイ、言うことが違うだろ。予想違いにちょっと慌てながら続けた。
「じゃあ、お母さんだ」
「ブブーッ」
「それならお姉ちゃん?」
「ううん。私は世界中のみんながすき。悪い人のほかはね。悪い人もすこーしいるでしょ。でもそのほかはみーんなすきなんだ」
なんていいヤツなんだろう。自分が愛されていることを微塵も疑っていないから、愛の対象をこんなにも広げることができるのである。現に初対面の人とも全く臆せず話ができるし、誰とでもすぐ友達になる。
私が家事や育児に関わるようになって生まれた明日音は、文字通り家族全員で力を合わせて育ててきた。生まれつきの性格もあるだろうが、こんなにも自分や世界を肯定できる幸福な子供に育ったのはそのおかげのような気がする。そう思うと心の中に春風が吹いてくるような気がして、私が育児に関わるきっかけをつくってくれた妻にも感謝したくなった。
片や水咲。
「先生が夫婦げんかしたんだって」
まるで我がことのように浮かない顔で彼女が話しかけてきた。
「そお。でも、お父さんもお母さんもけんかすることで理解し合えるようになったんだから別に悪いことじゃないんだよ」
妻がそう応じると、水咲は不満そうに言った。
「でも、私は夫婦が仲のいい時に赤ちゃんを産んだ方がいいと思う。その方が絶対赤ちゃんも幸せだから」
幼いころの両親のけんかの思い出が心に焼きついているのだろう。「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものである。ただ、三歳過ぎたらもう取り返しがつかないというわけでは決してない。現に水咲は、あのころの我々を反面教師にできるほどに成長したのだから。自分の気持ちを押さえつけていい子を演じるのではなく、感情をきちんと表に出し、我々に要求することができたから、何とか心の健康を保てたのだと思う。その時はどうしようもなく否定的に思えた行動も、ちゃんと理由があり、長い目で見ると実は役にたっていた。その行動によって我々親の変化を促したという功績もある。
家族とは、何とうまくできているのだろう。まるで一つの生き物のように、修復する機能を持っているのだから。
子育ては気が滅入るほど大変である。でも大変な分、面白くもある。子供たちと付き合う中で、ちょっと面映ゆいけれど、人間というものの姿が少し見えてきたような、そんな気がする。
波乱はまだまだ続くだろうが、その苦労を楽しみたいと思う。一度きりの親業だから。
ある日、明日音が聞いてきた。
「分かっとるやろもん」
私はわざと答えない。
「だれ?」
「だれだと思う?」
ここで何と答えるかで、その子が楽観的か悲観的かが分かる。
明日音は少し考えて、自信たっぷりに答えた。
「わたし」
「ピンポーン」
「やっぱりぃ。じゃ、わたしがすきなのはだーれでしょ?」
オウム返しで同じことを聞いてくるのが幼な子のかわいいところである。私は少し考えるふりをしながら答えた。
「えーと、だれかなー。お父さんかな」
「ううん」
オイオイ、言うことが違うだろ。予想違いにちょっと慌てながら続けた。
「じゃあ、お母さんだ」
「ブブーッ」
「それならお姉ちゃん?」
「ううん。私は世界中のみんながすき。悪い人のほかはね。悪い人もすこーしいるでしょ。でもそのほかはみーんなすきなんだ」
なんていいヤツなんだろう。自分が愛されていることを微塵も疑っていないから、愛の対象をこんなにも広げることができるのである。現に初対面の人とも全く臆せず話ができるし、誰とでもすぐ友達になる。
私が家事や育児に関わるようになって生まれた明日音は、文字通り家族全員で力を合わせて育ててきた。生まれつきの性格もあるだろうが、こんなにも自分や世界を肯定できる幸福な子供に育ったのはそのおかげのような気がする。そう思うと心の中に春風が吹いてくるような気がして、私が育児に関わるきっかけをつくってくれた妻にも感謝したくなった。
片や水咲。
「先生が夫婦げんかしたんだって」
まるで我がことのように浮かない顔で彼女が話しかけてきた。
「そお。でも、お父さんもお母さんもけんかすることで理解し合えるようになったんだから別に悪いことじゃないんだよ」
妻がそう応じると、水咲は不満そうに言った。
「でも、私は夫婦が仲のいい時に赤ちゃんを産んだ方がいいと思う。その方が絶対赤ちゃんも幸せだから」
幼いころの両親のけんかの思い出が心に焼きついているのだろう。「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものである。ただ、三歳過ぎたらもう取り返しがつかないというわけでは決してない。現に水咲は、あのころの我々を反面教師にできるほどに成長したのだから。自分の気持ちを押さえつけていい子を演じるのではなく、感情をきちんと表に出し、我々に要求することができたから、何とか心の健康を保てたのだと思う。その時はどうしようもなく否定的に思えた行動も、ちゃんと理由があり、長い目で見ると実は役にたっていた。その行動によって我々親の変化を促したという功績もある。
家族とは、何とうまくできているのだろう。まるで一つの生き物のように、修復する機能を持っているのだから。
子育ては気が滅入るほど大変である。でも大変な分、面白くもある。子供たちと付き合う中で、ちょっと面映ゆいけれど、人間というものの姿が少し見えてきたような、そんな気がする。
波乱はまだまだ続くだろうが、その苦労を楽しみたいと思う。一度きりの親業だから。
Posted by 管理者 at
06:30
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